こんにちは
クローバーです^^
今回は「組織の建築ブロックの分析手法と5つの組織分析」という話を「ドラッカーのマネジメントがわかる本」を題材に話していこうと思います。
【目次】
組織の建築ブロック
組織を設計する時に大事になるのは「構造」から考えるのではなく「組織が必要とする活動=建築ブロック」から考えだすことが大事になります。組織の建築活動を分析するには、どのような手法があるのでしょうか。
それにはまず、「組織の建築ブロック」を明らかにする必要があります。それを明らかにするには以下の4つの分析が不可欠になります。
1:活動分析
⇒「不可欠となる卓越性」「どの分野で効果が上がらないとき、致命的な被害を被るか」「本当の重要な価値は何か」という問いに答えることで、組織の活動を調べます。
2:貢献分析
⇒組織内の活動の貢献の種類によって分析する。貢献にも種類があり、それぞれ「成果活動」「支援活動」「家事活動」「トップ活動」があります。
・成果活動は「成果に直結する活動」
・支援活動は「自らは成果を生まず、他の活動のインプットになる活動」
・家事活動は「健康管理や食堂、福祉などの活動」
3:決定分析
⇒「意思決定の種類と手順」を明確にします。そして意思決定の「権限や責任」をどこに負わせるかを明らかにする
4:関係分析
⇒共に働く相手、貢献すべき相手、貢献を受けるべき相手などを分析し、活動の相互関係を明らかにする
このような分析をすることにより「組織の活動」を明らかにし、その明らかになった活動を「建築ブロック」のように「組み立てて」組織を作るという事なのです。
ここで明らかにした「建築ブロック」を組み立てるのですが、組織構造には「ひな型」となる形態があるので熟知していくと便利です。次の項目で「ドラッカーが指摘する5つの組織形態」について話していきます。
5つの組織形態
ドラッカーは組織の基本形態として5つの型を指摘しています。
1:職能別型組織
⇒仕事を「技能別」「段階別」に分類し組織化する組織形態で古くから存在する伝統的な組織形態です。最大の特徴は「組織内における自分のポジションが一目でわかる」という事です。
ドラッカーは仕事は知識労働か肉体労働かを問わず、3通りの方法で組織できると言います。それが以下の3つです。
1:仕事の過程内の各段階で組織する
2:家庭内の必要な技能や道具の間を移動するように組織する
3:異なる技能と道具を持つ労働者を1つのチームとして組織する
という事です。
今回の項目の「職能別組織」とは「1」と「2」を組み合わせたもので、仕事を技能及び段階別によって分類し、それを組織化したものです。
分かりやすく言えば「事業部」「人事部」「営業部」「経理部」などの、いわゆる「縦割り組織」という事です。
「職能別組織」のメリット
「自らの組織のどのポジションに位置するのか」という事が一目で理解できる「明快さ」がその一つです。また「高い安定性」もメリットの一つです。
職能別組織のデメリット
「組織全体の目標が見えにくい」「自分の目標と関連しにくい」「組織全体よりも部門優先になる」というものがあります。
総じていえば、単一の製品を製造し行程も複雑ではない「単純な形態の企業」では大変効果的な組織と言えます。
2:チーム型組織
⇒それぞれ異なる技能を持つ人々が集合し、一つの仕事を遂行する組織形態を指しています。組織内から「専門分野」を集めて「専門チーム」を結成します。明確に規定された課題に対してチーム一丸になって取り組みます。「プロジェクト・チーム」「タスク・フォース」「スモール・グループ」というような呼び方をされていて、ドラッカーによれば「人類が狩猟時代から知っている組織設計」という事です。イメージとしては「映画の製作チーム」のように「監督」「脚本」「制作部」「撮影部」「編集部」などの「専門チーム」という感じです。
チーム型組織のメリット:
明確に規定された目標があることでチームメンバーそれぞれが「自分の貢献すべき内容」が把握できるので成果を上げやすいことが挙げられます。また、課題が解決すれば解散できるほど柔軟性が非常に高いこともメリットと言えるでしょう。
チーム型組織デメリット:
それぞれが「専門チーム」であるために「意思の疎通」に時間を費やすことが多くなりがちで「安定性に欠ける」という事がデメリットで、人数が多くなればなるほど機能不全になることもあります。
これらを踏まえたうえで、「1」の職能別組織の補完として用いるのが基本で、特に知識による仕事に威力を発揮しますので「トップマネジメント」こそ採用すべきとドラッカーは指摘しています。
3:分権組織
⇒分権化した事業から編成される組織で、先ほどの「1:職能別組織」は規模が大きくなるとどうしても機能不全に陥りますので、その問題を解消するのが「分権組織」なのです。また「分権化している」というところから「連邦制分権組織」とも言います。ちなみに「連邦」とは「複数の強い権限を持つ国家や自治体の2つ以上の集合体」ですので「合衆国」と名が付いていますが「アメリカ合衆国」は「アメリカ合衆国連邦政府」というように「連邦国家」ですので、そのイメージだとわかりやすいかと思います。
「分権組織」の特徴としては「事業部制」や「社内企業制」などが「分権制」になり、一般的には事業体内部に「職能別組織」を持ち、個々のマネジメント機能を持っていて、自立的に事業体を運営します。また「チーム型組織」を補完的に活用する場合もあります。
分権組織のメリット:
分権組織では事業体が自主的に運営されるので、事業部の目標と個々の目標が把握しやるくなるので意思決定やコミュニケーションが円滑に行きやすいです。また先ほども少し触れましたが「規模が大きくなった職能別組織」の機能不全を回避することにも役立ちます。他にも、トップマネジメントは「特有の課題」に専念しやすく、「将来のトップマネジメント」を養成しやすいというのもメリットの一つです。
分権組織のデメリット:
事業の規模が大きくなることで本社のトップマネジメントが弱体する事はあってはなりませんので、その点は要注意すべき点です。
この「分権組織」はドラッカーが発表した「企業とは何か」の中で初めて提唱したモノです。「企業とは何か」は自動車メーカーの「ゼネラルモーターズ」を内部から観察して現代企業の在り方をまとめたモノで、この「分権組織」は日本の大企業やフォードなどでも採用された組織であるのです。
4:疑似分権組織
⇒巨大企業でありながらも事業を個別に扱えない組織があります。先ほどから何度も出てきていますが「1:職能別組織」というのは規模が大きくなると機能不全に陥りやすいです。「3:分権組織」のようにできず「事業を完全に分権できない」という場合に「疑似分権組織」に移行します。組織の機能に「可能な限りの自立性」を持たせ、孫席に関する責任を持たせたりします。
疑似分権組織のメリット:
⇒最大のメリットは先ほども触れましたが、規模の拡大による「1:職能別組織」の機能不全を防げる点です。
疑似分権組織のデメリット:
⇒組織設計の「明快さ」を満たしておらず、「経済性」「コミュニケーション」「意思決定」にも問題が見られ、社内レートによる利益は市場の利益とは異なるため、利益の算出が難しいなども問題があります。
総じてドラッカーは「疑似分権組織はあくまで最後の手段」と指摘していますので、組織の規模が大きくなり過ぎた場合には「本格的な3:分権組織の適用」を考えるのが原則です。また、職能別組織がうまく機能している中小企業の組織の場合は無理に疑似分権組織の採用は避けるべきです。
5:システム型組織の特徴
⇒このシステム型組織とは「1:職能別組織」「2:チーム型組織」「3:分権組織」「4:疑似分権組織」などのあらゆる組織設計の原則を課題の応じて取り込むところが最大の特徴と言えます。
システム型組織のメリット:
柔軟性に富んでいて、新しいアイディアを受け入れる容量が大きいことがメリットで「多国籍企業」のように「多様な価値観を統合することが不可欠」なケースでは、とても重要視される組織形態です。
システム型組織のデメリット:
先ほど「特徴」の部分で「あらゆる組織設計の原則に応じて」とありましたので、「万能な組織」と思いがちですが、実は組織設計の点からみると「欠陥だらけ」に映ります。「明快さ・安定性」に欠け、「意思決定」も不明確ですし「将来のトップマネジメントの養成」にも不向きです。そして最大のデメリットは「経済性が悪い」という事になります。このように「欠陥だらけ」とも言える組織を採用するには「NASA」のように「宇宙飛行船を月まで飛ばす」というような「明確な組織目標」が不可欠になり、メンバー同士のコミュニケーションや各自の「自己管理・高い責任感」も重要な要素になります。
6:責任型組織の特徴
⇒知識社会において組織が効果的に機能するには「責任型組織を採用するべき」とドラッカーは指摘しています。この「責任型組織」をドラッカーは「オーケストラ」に例えています。オーケストラというのは「指揮者」と「演奏者」の集団からなる組織で「組織の階層は極めてフラット」です。また個々の演奏者は「高い専門技術」と共に「自分の演奏に強い責任」を持ち演奏をします。また、リーダーともいえる「指揮者」はここの演奏家から力を引き出すことで「最高の音楽」を奏でる事が出来るのです。
この「責任型組織」では「高度な専門知識や技術」を身に付けたメンバーが集まり、そのメンバーは「高い自己責任」のもとに「自らの目的」を果たすように努めます。リーダーは指揮者のようにメンバーを統率して、メンバーの知識や技術を発揮させていくのです。
責任型組織のメリット:
以前も話しましたが「階層は少ない方が良い」というのがドラッカーの考えですが、責任型組織はまさにその通りで「組織の階層が極めてフラット」で個々のメンバーが力を発揮しやすく、自分の使命を把握しやすいのがメリットです。
責任型組織のデメリット:
リーダーがメンバーの能力を引き出せるような「高い能力」が不可欠です。リーダーがメンバーの功績に嫉妬したりするような組織では成立しません。またメンバー個々の「高い責任感」なども不可欠で、高い技術を持つが故に協調性に欠けるなどでは同じく成立しないので、その辺りも含めて「強い責任感が不可欠」という事になるのです。
という感じで今回はこのあたりで失礼します。
今回の動画は「商売繁盛」「縁結び」のパワースポットとして知られる「真鶴貴船神社」の動画です^^