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北尾吉孝氏の人間学やビジネスなどの名言・格言集

 

今回は北尾吉孝氏の人間学やビジネスなどの名言・格言集です^^

 

【目次】

 

 

 

リーダーに求められる倫理的価値観

・私が率いるSBIグループの経営理念には、「正しい倫理的価値観を持つ」という項目を筆頭に設け、次の一文を掲げています。

「『法律に触れないか』、『儲かるか』ではなく、それをすることが社会正義に照らして正しいかどうかを判断基準として事業を行う」

正しい倫理的価値観を持たずして行う事業は、一時的にはうまくいっても、決して長続きすることはないでしょう。

 

・会社というのはただ利益を上げればよいというものではなく、世のため人のために存在するべきだというのが私の信念です。

 

・安岡(正篤)先生は、古今東西の学問思想に通じた碩学であり、その卓越した見識、学識を頼り、総理大臣も教えを請うたことから、歴代総理の指南番とも謳われました。終戦の詔勅の草案にも関わり、日本の政治の歩みにも深く関わってこられたばかりでなく、有力な財界人も数多く師事したことで知られています。

 

・自らを知って初めて大きな仕事ができること、よき師と巡り合うことが人間的成長を促すこと、事業を成功するためには「機」を逃してはならないこと、出処進退のあり方がその人の人生を決めること等々、いまでは私の信念となっているこうした考え方の大本を辿ると、安岡先生の教えに行き着くのです。

 

古の教えを活学する

・私は安岡(正篤)先生の本を買い求めては、我を忘れて読み耽りました。ビジネスの世界に入ってからも繰り返し手に取り、自分を磨く糧としてきました。安岡先生との出逢いなくして、決していまの自分はなかったと断言できます。

 

・安岡(正篤)先生の本のおかげで知識をいかに実践に移していくか、活学、知行合一ということを真剣に考えるようになり、それまで親しんできた『論語』をはじめとする中国古典が、精神的なバックボーンとして自分の中にしっかりと位置づけられたのです。

 

自分を知ることがすべての出発点

・運命を変えるために安岡先生が説かれているのが、尽心(じんしん)・知命(ちめい)・立命(りつめい)という自己維新のプロセスです。

「尽心」とは心尽くすこと、心を探究して本来の自己を自覚することで、「自得」ともいいます。それによって天から与えられた使命を知る「知命」、それに基づいて自分の運命を創造する「立命」が可能になります。

 

・古代ギリシャの哲学者ソクラテスに「汝自身を知れ」という有名な言葉があり、ドイツの文豪ゲーテは「人生は自分探しの旅」という名言を残していますが、安岡先生も自得(心を探究して本来の自己を自覚する心を尽くすこと)こそがすべての出発点と説かれています。

 

・自分というものは人生で様々な経験を重ねていく中で一つひとつ分かってくるものです。時には辛いこと、悲しいことにも遭遇する中、自分がどのような反応をしたのかを反芻することで、心の奥深くに住む本当の自分というものが見えてくると思います。

 

運をよくするための心掛け

・仏教には、因果の法則という教えがあります。物事にはすべて原因があり、善い因をつくればよい結果がもたらされ、悪い因をつくれば悪い結果がもたらされるということです。

 

・『易経』にも「積善の家には必ず余慶有り。 積不善の家には必ず余殃有り」という教えがあります。善行を積み重ねた家にはその功徳により幸せが訪れ、不善を積み重ねた家にはその報いとして災難がもたらされると説いています。

 

・運命をよくするためには善因をつくらなければなりません。善因善果、悪因悪果を踏まえて、日々自分を律していくことがとても重要です。そして、よき運に恵まれるよき運を持った人との縁にも恵まれ、よい出会いがさらによい結果をもたらすこと、縁尋機妙、多逢聖因の理を体現できるのです。

 

・運と徳は密接不可分な関係にあり、運をよくするためには、徳を高めていくこと。そのためにも、日々の生活の中で善を積んでいくことが非常に大切であると理解できます。

積善の基本となるのが日々の仕事です。仕事という言葉を構成する「仕」も「事」も、訓読みすれば「つかえる」であり、働くこと自体が世のため人のために尽くすこと、善を積むことに通じているのです。

 

・教育者の森信三先生は、「足もとの紙クズ一つ拾えない程度の人間に何が出来よう」と説いておられます。目についたゴミを拾って歩くことも立派な善行であり、天は私たちのそうした平素の行いを見ています。正しいと信じることをただひたすら実践すれば、結果は必ずついてくる。これは私のこれまでの人生を通じての実感です。

 

 

 

万物平衡の理と最善観

・『論語』に、「富貴天に在り」という言葉があります。富や名声を得られるか否かは天の配剤であるという意味です。そうした浮き雲のように儚いことを追い求める人生に心の安らぎはなく、過度に執着することで幸せも遠ざかってしまうと私は思います。

 

・世間には、志と野心を履き違えている人が多数見受けられます。有名になる、大金持になるといった目標を掲げて頑張ることは決して悪いことではありません。しかし大切なことは、そこに世のため人のためという大義があることではないでしょうか。

 

・運の善し悪しについては、森信三先生の教えをぜひとも心に刻んでいただきたいと思います。

いまの自分を幸せだと思っている人も、不幸せだと思っている人も、長い目で見ればあまり大きな差はないということ。この「万物平衡の理」を理解して、自分は運がよくない、自分は不幸だと短絡的に思い込まないこと。同時に、我が身に降りかかる一切のことは絶対必然で絶対最善であると思い定めてすべてを受け入れること、すなわち「最善観」をもって歩んでいくことで運命は開けていくと森先生は説かれています。

 

・安岡(正篤)先生は、司馬光の『資治通鑑』を引き合いに「才徳の弁・小人君子の弁」ということを説かれています。

「才と徳が完全なる調和をもって大きな発達をしているのは聖人である。反対にこれが貧弱なのは愚人である。およそ才が徳に勝てるものは小人といい、これに反して徳が際に優れているものは君子という。人を採用する時は、絶対的に君子を採って、小人を排し、小人を採るのであればむしろ才無き愚人を採るほうがよい」

 

・昔から「功ある者には禄を与え、良識見識ある者には地位を与えよ」といいますが、人を登用する際には才よりも徳をより重視し、見識ある人が上に立たなければ、組織が道を誤ってしまいます。

 

・人に人徳があるように、会社には社徳というものがあります。リーダーに自ら経営する会社の社徳を大きく立派なものにしていこうとする姿勢がなければ、真の成長を実現することは難しいと私は考えるのです。

 

常に難しい道を選択する

・運と徳についての教えは、いかに人間力を養うかという話に集約されると思います。私自身がきょうまで仕事に打ち込んできて実感するのも、やはり人間力の重要性です。

例えば営業という仕事を一つ取ってみても、表面的なスキル以上に求められるのが、その人の持つ人間的な力であり、その源となる志の有無です。世の中のため人のためにという崇高な思いをどこまで抱いているか、その志をもとに平素からいかに自分という人間を修練しているか、それがその人の仕事を大きく左右するのです。

 

・「艱難汝を玉にす」という言葉があります。ことさら逆境を追い求める必要はありませんが、自分を甘やかさず、常に努力をする姿勢を貫くことは非常に大切だと思います。私自身がきょうまで心掛けてきたことは楽な道と難しい道がある時には、常に難しい道を選択するということです。

 

・日々真摯に自分を磨き、エゴをできる得る限り浄化する。これこそがまさに徳を高め、ひいては良運を招く秘訣であると私は考えています。