こんにちは
クローバーです^^
今回の人間学やビジネスなどの名言・格言集は「仕事と人生に生かすドラッカーの教え。佐藤等氏:今いる場を高めるために貢献を問う他」です^^
【目次】
自由とは責任を伴った選択である
・自由に仕事をしたいのなら、責任をもつべし。マネジメントを修得した者が至る一つの到達点です。
・「自由とは解放ではない。責任である。楽しいどころか一人ひとりの人間にとって重い負担である。それは、自らの行為、および社会の行為について自ら意思決定を行うことである。そしてそれらはの意思決定に責任を負うことである(『産業人の未来』)」
・自由とは、何かに拘束されないという意味ではありません。何かを信じ、何かを行う選択の可能性です。
そう考えると指示や命令だけの仕事には、自由があるとは言えません。選択の自由がなければ責任も生じないことになります。自らが決定したことだからこそ責任と覚悟が生まれます。
・内発的動機づけ理論を確立した社会心理学者のデジは、人が真に動機づけられるには、自己決定感と有能感を持つときだといいました。すなわち自分で目標などを定め、自ら実行し、かつ自分の能力が発揮されていると感じる状態です。
・今日の組織社会では、現場の経験がノウハウとして蓄積されていきます。専門知識をもつ現場の担当者の考えが組織の意思決定に大きな影響を与える時代です。
このような時代には、指示命令によるマネジメントでは限界があります。現場ごとで各人が自ら考え、決定し、行動することが求められます。その際に必要なマネジメントの道具が「貢献」です。平凡に聞こえるこの言葉が大きなカギを握っています。
成果をあげるためになすべき貢献を問う
・「貢献」と聞くと社会貢献という意味を思い浮かべる人も多いと思います。結果としてそこに通じるのですが、ドラッカーが用いた「貢献」とは、組織が成果をあげるために一人ひとりが組織の中で「どのような貢献をなすべきか」と考えることです。具体的には、上司、部下、同僚に対して次のように聞くことです。
「あなたが組織に貢献するためには、私はあなたにどのような貢献をしなければならないですか」「いつ、どのように、どのような形で貢献しなければならないのか(『経営者の条件』)」
・組織が手にする一つの成果は、多くの人の貢献がつながって実現するものです。ちなみにドラッカーの「成果」は、組織が手にするものではなく、外の世界における変化を意味します。
端的にいうと顧客にどのような変化があるかということです。
・顧客満足という言葉が用いられることがありますが、その満足の中身が何かが重要です。
「顧客にとっての価値は何か」や「われわれの成果は何か」を組織に属する人が共有してはじめてその組織の「なすべき貢献」が決まります。つまり組織が一定の方向を示すことではじめて「なすべき貢献」を決めることができるのです。
・「なすべき貢献」とは、自分勝手には決められません。貢献の先に常に顧客がいるからです。つまり「なすべきこと」は顧客が決めることなのです。
「なすべきこと」を「できること」に変えていくことが自己開発です。仕事においては、顧客の存在抜きに「やりたいこと」が先行することはありません。
・目の前の「なすべきこと」はいろいろな縁の中でたまたま自分がさせてもらっているのです。目の前のなすべき貢献、すなわち仕事をさせてもらっていることに感謝し、さらに自分を磨き高める努力を続けることです。「やりたいこと」は、任された場で全力を尽くし、その場で高めたその先に見えてくるものです。
今いる場を高めるために貢献を問う
・「なすべき貢献は何であるかという問いに答えを出すには三つの要素を考える必要がある。
第一は、状況が何を求めているのかである。第二は、自己の強み、仕事の仕方、価値観からして、いかにして最大の貢献をなしうるかである。第三は、世の中を変えるためには、いかなる成果を具体的に上げるべきであるかである(『P.F.ドラッカー経営論』)」
・「貢献に焦点を合わせることによって、コミュニケーション、チームワーク、自己開発、人材育成という、成果をあげるうえで必要な四つの基本的な能力を身につけることができる(『経営者の条件』)」
・私たちは何をコミュニケーションするかではなく、どうやってコミュニケーションをとるかに意識をおきがちです。組織における最優先のコミュニケーション事項は、「なすべき貢献とは何か」について上司と部下の間で具体的に意思疎通をしておくことです。
・最高のチームワークは、各人が「なすべき貢献」を明確にし、構成員の強みを生かし合うことで生まれます。
自己開発と人材育成は、、効果の裏表です。「なすべきこと」を明らかにして「できること」に変えていくこと。それが自己開発であり、人材育成のポイントです。
社会の変化を観る眼を養う
「西洋の歴史では、数百年に一度際立った転換が起こる。世界は歴史の境界を越える。社会は数十年をかけて次の新しい時代に備える。
世界観を変え、価値観を変える。社会構造を変え、政治構造を変える。技術と芸術を変え、機関を変える。やがて五〇年後には新しい世界が生まれる(『ポスト資本主義社会』)」
・気がつけば、スマートフォンの台数がパソコンを超え、街中に監視カメラが溢れ、車の自動運転も目前です。まさに風景が変わりつつあります。このような歴史の境界線ともいうべき新しい変化は実感しにくいものです。
それゆえ、ものごとの兆しを観ていち早く何が起こるか察知する必要があります。
・ドラッカーは社会の変化を観る眼を養うことの重要性を説きました。そのためには、視座を高め状況や環境を良く把握することです。長期的に診る、多面的に観る、枝葉末節ではなく本質を観る。安岡正篤先生の言葉が思い起こされます。
・「われわれは、未来を語る前にいまの現実を知らなければならない。なぜならば常に現実からスタートすることが不可欠だからである(『産業人の未来』)」
・ドラッカーの言葉に「すでに起こった未来」があります。目の前の現実を知れば、未来も予見できるという意味です。
たとえば日本は、二〇〇五年に人口減少社会に突入したといわれています。その時点では、実感の乏しいものでしたが、今日の労働不足は予見できるものでした。大きな変化にはタイムラグがあり、準備することができます。
機会は偶然来ない。機会をつかむ準備をする
・企業家が社会の変化をイノベーションとして結実させるように、私たちも社会の変化に適応していかなければなりません。働き方の変化は、事業が変わること、もしくは事業提供プロセス(仕事)が変化することに起因しています。(中略)
ドラッカーは、今から半世紀ほど前に肉体労働から知識労働への変化について次のように指摘しました。
「仕事と人の双方がこれからは史上最大の変動期に入る。産業革命以降、最大の変革期である(『マネジメント』)」
・かつては、生産を多くするために長く、激しく働くことが求められました。現代は、効率的であることはもちろん、効果的であることが求められます。知識労働者は自ら考え、自ら決定し、自ら行動します。まずは知識労働者であるとの自覚が大切です。
・今後、人工知能の出現により、多くの仕事がなくなるとの予測があります。しかし恐れることはありません。これまでも新しい技術は新しい仕事を生みだしてきたからです。
大切なことは、目の前で起こっていることをよく観察し、変化を機会に変えることです。
・人生百年時代においては、何度か働き方の変化が求められます。
「最高のキャリアは、あらかじめ計画して手にできるものではない。自らの強み、仕事の仕方、価値観を知り、機会をつかむ用意をした者だけが手にできる(『明日を支配するもの』)」
・機会は偶然やってくるものではありません。自らの強みを知り、磨き、活用して準備を怠らなかった者の前に機会はやってきます。
自らをマネジメントする
・変化に適応していくとともに、時代が変わっても人物を創ることの重要性は不変です。人物のいかんが事業や仕事の盛衰を決めるからです。
・「自らをマネジメントするということは、一つの革命である(中略)あたかも組織のトップであるかのように考え、行動することを要求する。思考と行動において、これまでのものとは一八〇度違うものを要求する(『明日を支配するもの』)」
自分を変えることが出来るのは自分だけです。そのためには自分をマネジメントするための原理と方法を修得する必要があります。
・人材不足の時代には、単に人数だけの問題と認識せず、「質」を向上させ、数を補うという覚悟が一人ひとりに求められます。大切なことは、「質」を高めるため、個人も組織も日々心を新たに、従来からの旧弊を排し、進化していくことです。